- 2011/02/25(金)
- 養豚のホント(牧場で就職)
今回取材に伺ったのは養豚のお仕事。
動物が好きだから、世話をしたいから…だけではない「数字」の世界がありました。
お話を伺ったのは、福島県との県境に位置する有限会社常陸牧場さん。
飼養頭数約6500頭、年間出荷量は約1万2000頭。独自ブランドを立ち上げる規模の大きい養豚場です。
仕事は分業制。種付、分娩部門のお話と、矢吹社長にもお話していただきました!
【種付担当の1日】
畜産科の高校を卒業し、畜産とは無縁の大学に入学。やっぱり養は豚の仕事に就きたい…
それからこの仕事に就いた小出さん。さてさて、小出さんが夢中になる、「種付」の仕事とは??
Q.小出さんの一日のお仕事を教えて下さい!
まずは母豚に餌をあげ、豚舎の掃除をします。
それから人工受精の準備を始めます。
発情期の雌豚を雄豚の小屋(交配舎)に移動させます。
発情期の雌豚を見極めるのは結構大変。与えた餌の減り具合や体温の上昇、粘液などを見て微妙な変化も見逃さずチェックし、判断をしなければなりません。
発情期は多い時は1日8頭。1週間で平均約30頭が発情期を迎えます。
人工受精の資材が37℃になったらいよいよ開始です。
25日程で、交配を終えた雌豚の妊娠鑑定を行います。
エコーを使って鑑定します。
ここで空胎(妊娠が確認できない母豚)をゼロにすることが求められます。
空胎があると正直悔しいし、何が問題だったんだろうと振り返ることが必要です。
上手く妊娠が確認できたら分娩4~5日前に分娩舎にトラックで移動です。
どんな子豚が何頭生まれるか、ここでまた仕事の結果が明らかに!
【分娩担当の1日】
小出さんから引き継いで分娩舎を任されているのは小田中さん。
可愛い子豚に囲まれて…それを超えた本当の愛情があるからこそ、やりこなせる仕事。
さて、どんな仕事なのでしょう??
分娩舎に入ったら、まずは生まれているかどうか確認して回ります。
それから餌をやりや掃除にとりかかります。
餌はとても重要。
母豚の餌は1頭ずつ与えます。母豚が食べる餌はお腹の中にいる子豚に直接的な影響を与えます。
そのため、餌やりはとにかく重要で難しい。何頭妊娠しているか、成長具合はどうかを見極め、微調整しながらいかに「母豚に餌を組みこませるか」がポイントです。
健康で大きい子豚が生まれたら「やった!」って思いますね。中には未熟児や死産の子豚もいるので、その時は本当に悲しいです。
分娩時は気が荒くなる母豚もいます。生んだ後、子豚に噛みつく場合もあるので母豚の性格を把握し、対応しなければなりません。
1~2時間しても出てこない難産時は手を入れて生ませます。
分娩時に出てきた胎盤もしっかり洗って保管。これは最近では化粧品などにも使われる、貴重なものなんですよ。
生まれた子豚たちは耳に切り目を入れて番号をつけたり、尻尾を切ったり、といった処置を行います。早く離乳して次のステージに行ってもらえるよう、努力するのみ!
その他にもワクチンの接種なども行います。
分娩の予定があると、ついつい夢中になってしまって、休みも後回しになってしまいます。
毎日何頭もの子豚との出会いがありますが、1頭1頭が可愛くて仕方ないです。
と笑う彼女の携帯には、たくさんの子豚の写真が保存されていました!
【養豚の仕事とは?】
Q.代表の矢吹さんが思う養豚の仕事の魅力について聞かせて下さい!
10年前は約1万件あった養豚場が今は5000件程に減少。小規模の養豚場がどんどんなくなっているんですね。
減っていく中で豚肉を生産し続けるという使命感がまず先にあります。
豚肉は人間が生きて行く上でなくならないものですからね。
真剣にやればやるほど豚は返してくれるのが養豚の仕事だと思います。
全部数字に表れるのも分かりやすい。
頑張った結果として、それがお金で返ってくるというのも事実。
いろんな意味で「自分が豊かになるための仕事」です。
それから、仕事時間が比較的規則正しい。(季節によっても異なりますが)
うちは、集中して仕事をします。早い時は15時とか16時に終わることもありますよ。
そんな時はみんなで一杯やったりして、楽しんでいます。
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