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  • 2016/06/14(火)
  • 農業を志す方へ ―有限会社フクハラファーム 代表取締役 福原 昭一さん―

 

大切なのは「姿勢」「勤勉さ」「チームワーク」「挨拶」

ICT活用による“見える化”で人材育成を

有限会社フクハラファーム

代表取締役 福原 昭一さん

 

 

滋賀県彦根市で土地利用型の大規模稲作経営を実践する有限会社フクハラファーム。

1995年の法人設立時に約30ヘクタールだった経営面積は、20年ちょっと経った今約175ヘクタールにまで急拡大しています。琵琶湖に面し、平坦でとても美しい田んぼが見渡す限り広がっています。「この美田を守り、次の世代へ繋げる基礎を作りたい」そう話す代表の福原昭一さんにお話を伺いました。

 

【写真:有限会社フクハラファーム 代表取締役 福原 昭一さん】

 

 

■まずは福原さんがどのような点を大切に経営されていらっしゃるのか教えてください

当社は、大規模化とともに低コスト化を図り、収益性の高い稲作経営を目指しています。

そのために、早くからICTを導入し、日々の作業工程や作業効率の“見える化”を進めてきました。稲作というのは、種を蒔いて苗を作り、田植えをして、管理をして、稲刈りをして、と作業が連続していて循環しています。目の前の作業をただこなすだけでなく、いかに次の作業工程のことを考えながら次につながる仕事ができるかで、後々の結果が大きく変わっていきます。“見える化”することで、11人が作業効率を考えるようになり、結果的に人材育成にもつながり、経営方針でもある「高品質多収」を実践できるのです。

 

■なるほど。今「人材育成」というキーワードが出ましたが、現在はどのようなメンバーが活躍されているのですか?

現在社員は12名在籍しています。平均年齢は30歳ちょっとで、10年くらい働いているメンバーが4名、7年ほど働いているメンバーが3名、3年目が4名、今年の新卒が1名です。

 

 

【写真:フクハラファームの従業員達】

 

■若い方々が活躍しているのですね。しかも、皆さん長く定着されているように感じます。福原さんが人材を育てる上で意識されている点はどのようなことですか?

長所をどうしたら伸ばせるか、そして、どうしたら短所をカバーできるかということをそれぞれのメンバーとの対話の中で、メンバー自身に意識をさせています。

毎年7月と12月の賞与の時期に11人と面談をし、目標設定とフィードバックの場を設けるようにしています。評価するポイントとして特に重視している項目は4つあります。「日々の業務に対する姿勢」「勤勉さ」「チームワーク」「挨拶」です。本当に基本的なことなのですが、これができるかどうかで、全然違います。例えばチームワークで言うと、お互いがお互いをフォローする気持ちを持てるかどうかで、2人の力が2倍にも3倍にもなりますよね。チームワークが悪いと、個々が孤立してしまって、良い結果は生まれません。

あとは、経験と共に、ある程度個人個人に役割を持たせていくということも実践しています。1年~2年は一つ一つの仕事や全体の流れを掴むことで終わってしまうと思いますが、経験と共に段々と責任を持たせていきます。栽培品目(米・果樹・野菜)毎にリーダーを付け、また、作業ごと(播種や定植など)にもリーダーを付けます。そうすることで、11人に考える力、全体を見る力が付いていくのです。

 

■評価によってお給料も変わるのですか?

それはやっぱり違います。農業は実力の世界です。会社に自分の長所をどうアピールし貢献していくか。仕事への前向きな取組姿勢や考え方、そのことが会社への貢献に繋がればしっかりと評価をしてあげる。それが給料につながるわけです。そしてそれを励みにさらに頑張る。そうした良い循環になるように心がけています
 

■福原さんの今後の目標をお聞かせください。

まず、規模については、周囲の生産者との兼ね合いもあり、これ以上急速に拡大するということは無いのではと思います。私の想いは、この美田・優良農地を守り、次の世代へと繋いでいくことです。農業は地域との関わりがとても深い産業です。この地域で言うと、琵琶湖の水をみんなで分けあって使っています。自然環境を守る、景観を守る、地域の資源を守るという意味でも大切な仕事だと考えています。もちろん、国産の安心できるお米を食べたいという消費者の方々、安定的にお米を必要としてくれている実需者の方々(量販店や外食産業の方など)のニーズにしっかりお応えしていきたいという思いもあります。

また、今後の会社の更なる成長を考えると、輸出は必要かなと考えています。

 

 

 

【写真:田んぼから見るフクハラファームの事務所と倉庫】

 

 

■ありがとうございます。最後に、今就農を考えている方にメッセージをお願いします。

そうですね、農業は「流行り廃り」のものではないです。だから一時の気持ちでやるのは難しいと思います。でも、田舎に住むことができて、地に着いた仕事ができる。こんな素晴らしい仕事は他には無いのではないかと思います。独立するなら、やり方次第。他の人と同じことをやるのではダメです。農業をやりたい、という方は、法人への就職もいいのではないでしょうか。地域との関わり、仲間たちとのチームワークを大切にできる方はぜひ挑戦してみてほしいと思います。

 

【写真:環境に配慮した栽培を実践するフクハラファームの田んぼ】

 

 

 

 

【取材を終えて】

 

フクハラファームさんは、アイガモ農法など、無農薬での米づくりに取り組んでいると聞き、昔ながらの稲作というイメージがあったのですが、早くからICTを導入し、徹底した低コスト化と生産効率の向上を図ることで、高品質かつ多収穫を実践されているというお話を伺い、とても感銘を受けました。さらに、ただシステムを導入するだけでなく、それを人材育成の手段として活用されていることに、これからの新しい農業のモデルとなるのではないかと感じました。新しい人材が入ってきたときに、自分が何をやったらいいのか、他の人と比べて自分の作業はどうなのか、それが目に見えるということは、心強いことだと思います。これからさらに若い力が加わり、進化していくフクハラファームさんを楽しみにしています。

 

 

お話を伺ったフクハラファームさんは現在人材を募集しています。

▽詳細はコチラからご覧ください。▽

 

 

 

 

 

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